杉並区児童館職員研修会で講演しました

 今日は杉並区の児童館職員研修で、二時間半にわたり「子どもが自分自身を守る力をつけるために大人ができること」ということでお話ししました。

 職員の方と一致したのは、自己肯定感、自尊心のある子どもを育てていこう、ということでした。自分が大切にされていると感じ、自分が人よりもちょっとすごいぞと思えることが一つでもあれば、安全に生きていく力になるのだという思いは児童館の職員の皆さんも私も一緒でした。

 写真は、安全基礎体力(体力、危機への知恵知識、コミュニケーション力、大人力)を児童館の生活の中でつけて行くにはどのようなプログラムが考えられるか、グループ討論していただいているところです。非常に面白いアイデアがたくさん出ました。児童館は地域の子育てにとって、大事な基地でもあります。

 予算は削られていますが、守りたい、また頑張ってほしい場所だと思います。

通学路の安全

見通しがよくても犯罪者にとって「近づきやすい」「逃げやすい」と思わせたら犯罪は起こる
見通しがよくても犯罪者にとって「近づきやすい」「逃げやすい」と思わせたら犯罪は起こる

今市の事件の犯人逮捕により、通学路の安全が今また問われています。

 犯罪者は情報を集め、どこで、どのような手口を使い、どんな子を獲物として狙うかを定めてきます。

 ちょっとした瞬間に、思いもよらないところから犯罪者が忍び寄ってきてしまったら、子どもは何も対処できない。これは、私たちが2007年と、2010年に行った子ども犯罪被害実態調査でも明らかになっています。「その時何もできなかった」という子どもは20%、声も出せず、走れず、悲しくつらい思いをした子供たちが沢山いるということです。その一方で、パトロールも疲労してきています。もちろん毎日雨が降っても雪が降ってもパトロールしてくださる方がいる。もちろん誰かが見てくださることはとても大事なことです。しかし無理に動員しても、それは、不満がたまり長続きはしません。

 だからといって、このままでよいのか。そうではない、と思います。

 

 これらを解決するには、地域と、家庭と、保護者、警察、学校が一体になって対処していく必要があります。そうでなければまた次の子どもが狙われることになってしまう。実際、子どもへの犯罪は今、増えてきています。

 事件を防ぐ方法としては、

1.前兆をつかむ、

犯罪は、突然起こるのではなく、「前兆」があります。「そういえば」ということが事件が起きた後には必ずある。それをいかにつかむか。犯罪者との戦いは情報戦です。

6.3.2の兆候をつかむこと。

2.犯罪は、犯罪者にとって「近づきやすく、逃げやすく、犯罪者にとっていいな、」という場所で起こる、ということをしっかりととらえること。決して「入りやすくて見えにくい」ではない。これはほんの一部。そして、安全マップを作るなら、季節によって作り変えること。景色は四季でかわってしまう。そして、マップを作って終わりではなく、危ない場所をどう変えて行けるか、まで考えること。

3.子ども自身に自助・共助・公助の力(安全基礎体力)をつける

 子どもは守られるだけでなく、自分で守る力を「体験的に」身につけさせること。危機に際して大人としての振る舞いのできる子どもに、育てること。危機に面した時、的確な判断ができ、それを実行に移せるような心の発達を促すこと。人間を育てる教育が安全教育であること。

4.「この地域では犯罪は起こさせないぞ」という市民の意識=’マイシティ’、という力を醸造させること。

5.地域を汚れたものにしない。

(参考 「犯罪からの子どもの安全を科学する」(ミネルヴァ書房)、「犯罪と地震から子どもの命を守る」(小学館))

 事件が起きたときは、地域を見直すチャンスです。もういちど、なぜ起きたのか振り返り、二度と起きないようにスクラムを組んで、地域への思いを新たに一歩踏み出させるチャンスです。犯罪者に負けない地域づくりに、地域単位で取り組んでいきましょう。